第17話
吾妻山麓醸造所
代表取締役/栽培・醸造責任者
牧野修治さん
2024年9月 福島市
対談・インタビュー編
醸造所見学編
9月半ばの雨上がりの午後。
空気が肌に張り付くような湿度の高い、夏のような陽気の日に、
福島市桜本にある吾妻山麓醸造所へお邪魔した。


福島市を一望出来るバルコニーには見晴らしの良いテラス席がある。
店内には、吾妻山麓醸造所を象徴する雪うさぎのエチケットが印象的なワインがずらりと並んでいる。



編集長と同年齢の牧野代表。
2024年5月、吾妻山麓醸造所の代表に就任した牧野修治さん。
2009年からアメリカのカリフォルニア大学デイヴィス校で葡萄栽培・醸造を学び、山梨のワイナリーで長年仕事をしていた。そんな最中、2011年の東日本大震災を経験。
震災の影響で、ワインを楽しむ環境や場所が失われていくことに危機感を持った。宮城県出身ということもあり、故郷である東北のために、何か出来ることはないか。そう思っていた矢先、吾妻山麓醸造所の横山泰仁社長(現会長)を紹介され、福島県でワイン作りに携わることとなった。
吾妻山麓醸造所・横山会長も震災復興への想いが非常に強い。
農業を通じた心の復興に重きを置き、その先にあったのが葡萄作りだった。
牧野さんの日常はとにかく忙しい。
特に9月に入ると葡萄の収穫から本格的な醸造へと入っていく。
醸造所を見学させて頂いたのだが、ワインの香り・・・ともまた違った甘く香ばしい香りが充満していた。
収穫した葡萄がどうやって醸造されるのかを、短時間ではあったが丁寧に説明してくれた。

除梗破砕機の内部
茎と葡萄に分ける作業を行う
(参照:ふくしまものがたり 醸造所見学編 https://youtu.be/qy1jtVSdmVU )
各地から入ってくる葡萄をタンクの空き状況を見ながら、パズルのように組み合わせてワイン作りを行なう。
同じ品種だとしても育った場所によって微妙に味わいが違ったりするため、自分の目や口でしっかりと確かめて、さらに緻密なデータ分析をして醸造していく。

想像以上の「手作り感」があったワイン醸造。
その分、手間ひまのかかるお酒だと感じた
そして2024年8月。
自家栽培した葡萄で作ったエステートワインがついにお披露目となった。編集長小野寺も司会として携わった。今年はご縁を頂いたことをきっかけに、福島市上野寺で実ったメルロの収穫作業を手伝わせてもらった。一房ずつ丁寧に収穫し、傷んだ部分を取り除き、箱に入れていく。根気のいる作業だ。

福島市上野寺で育てられたメルロ

収穫用のハサミ 茎から切り離すハサミ部分(下)と
傷んだ実などを摘みとる部分(上)が一体となっている

黙々と作業に没頭した

自分の収穫した葡萄がワインになる
想像しただけで嬉しい
ワインは、他のアルコールと比べるとどうしても価格帯が高い印象があるが、葡萄を育て管理し収穫して醸造、ワインになるまでの手間ひま、労力を考えると決して高くはないと感じる。
ほんの少し関わっただけだが勝手に思い入れが生まれ、ワインになる日をすでに待ち遠しく感じている。
それにしても自然を相手にする農業は、本当に大変である。毎年同じ工程を辿ったとしても、上手くいくとは限らない。試行錯誤の連続だ。だからこそ面白いという視点もあるが。
醸造家によって仕上がりが変わると言われているワインだが、
牧野さんは、「手垢を残さないワイン」を作ることがモットーだという。
主役はあくまでも葡萄と生産者と考える。
その年の天候状況、自分の知識・経験を活かしながら生産者の秘められた想いをのせた
「美味しいワイン」を作ることが使命だと話す。
「人と人を結ぶ祝いの酒づくりを大切にしたいんです」
優しい笑顔の奥で、強い信念を感じた。

自社栽培ブドウから醸造された待望のエステートワインが登場
FUMÉ BLANC 2023 / フュメ・ブラン 2023
草原を吹き渡る風、トロピカルフルーツのようなニュアンス、そしてスモーキーなテイストのある白ワイン
福島県福島市桜本ならびに上野寺にある自社圃場で栽培されたソーヴィニヨン・ブランを使用し、ステンレス樽にて6ヶ月間育成
WINERY AZUMA SANROKU(ワイナリー吾妻山麓)の南側に位置する「横森ヴィンヤード」は、阿武隈川の支流である白津川の堆積土壌によって構成される扇状地の裾野にあたり水捌けのよい土壌
また「横森ヴィンヤード」には近隣の温泉地からの硫黄の香りが流れ込み、
世界的にも類を見ないような独特のテロワールを有している
その特徴的なテロワールを表現するべく、柑橘系の香りやパッションフルーツ、ツゲの葉などを濃く表現した近代的なソーヴィニヨン・ブランではなく、「横森ヴィンヤード」がもたらす硫黄の「煙」(フュメ)を彷彿するようなクラシックな「フュメ・ブラン」が誕生した
産地:福島県福島市桜本・上野寺
ブドウ品種:ソーヴィニヨン・ブラン
収穫年:2023
醸造法:テンレス樽熟成(6ヶ月)
容量:750mL
アルコール:12.5%
酒質:辛口
ALVARINHO 2023/ アルバリーニョ 2023
柑橘や福島の桃、紅茶などを彷彿させる、爽やかな酸味が特徴の白ワイン
鉱物的な塩味を感じることから「海のワイン」と云われるアルバリーニョを
ポルトガル語表記の「ALVARINHO」とした
産地:福島県福島市桜本 「横森ヴィンヤード」
ブドウ品種:アルバリーニョ
収穫年:2023
醸造法:ステンレス熟成(6ヶ月)
容量:750mL
アルコール:11.5%
酒質:辛口

ポッドキャスト「irodoriのおと」ではオフトークを配信しています。
ぜひこちらもお楽しみください
株式会社吾妻山麓醸造所
代表取締役
栽培・醸造責任者
牧野 修治さん

ワイン醸造技術管理士(エノログ)
WSET* L3 Awards in Wine
Certified Specialist of Wine (Society of Wine Educators)
ソムリエ(日本ソムリエ協会)
山梨大学ワイン科学士(山梨大学認定)
日本ワイン検定1級 日本ワインマスター
Sake Diploma(日本ソムリエ協会)
Comrade of Cheese C.P.A チーズ検定
シードルアンバサダー
WINERY AZUMA SANROKU 受賞歴
Japan Wine Competition(日本ワインコンクール)2022
CHARDONNAY 2021 欧州系品種白 銀賞
Japan Cider Awards 2022
ふくしま (モダンシードル)部門 ☆
ふくしま デザイン部門 ☆☆
SAKURA Japan Women’s Wine Awards 2023
DELAWARE 2022 シルバー
Japan Wine Competition(日本ワインコンクール)2023
MERLOT 2021 欧州系品種赤 奨励賞
株式会社吾妻山麓醸造所
〒960-2151
福島県福島市桜本字梨子沢4番地の2
TEL.024-563-5057
FAX.024-563-5058
営業時間: 9:00-16:00
定休日: 木曜日
ご協力いただき、ありがとうございました。
取材・文 小野寺彰子
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