🕊️ふくしまものがたり🕊️
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第9話
ワイン葡萄栽培家 小山順平さん
2023年7月28日 郡山市湖南町
jardin du lac(ジャルダンデュラック)
ワイン葡萄栽培家 小山順平さん
福島県郡山市湖南町は、猪苗代湖の南岸に位置する高地。もともとは祖父の田んぼだった土地を譲り受け、2018年に湖南町で初めてワイン用の葡萄栽培農家になったのが、JP(ジェイピー)こと小山順平さんだ。
フランス語で”湖の庭”を意味する農園、jardin du lac(ジャルダンデュラック)で、夏空に可愛らしいシャルドネの実が映えるなか、自身の葡萄で醸造する夢、そして湖南町を盛り上げる「はじまりの葡萄プロジェクト」のビジョンについて話を聞いた。
取材したのは、7月下旬の朝8時。
それでも照りつける日差しがジリジリと暑かった。
収穫を待つ畑で100%メイドイン湖南ワインを夢見て
夏の終わりになると、葡萄畑の忙しさはひと段落。10月の収穫期まで葡萄のいい状態をキープするための大切な時期だ。風通しをよくするために実の周りの葉を摘んだり、雑草を刈ったりとメンテナンスが欠かせない。
ふっくらとした粒が美しい。収穫前にはさらに黄金色の実になる。
湖南町はとても葡萄栽培に適していると語る小山さん。標高550mと中心部と比べて1.8度から2度ほど気温が低いエリア。その涼しい気候が良質で個性のある葡萄を育むそう。現在は同じく郡山市にある逢瀬ワイナリーの契約農家として葡萄を卸しており、2021年に湖南町産シャルドネのオリジナルワインが完成したところ。
ヴァン デ オラージュ シャルドネ2021 樽熟成。湖南町で収穫した葡萄が使用されている。
サクラアワードで銀賞を受賞。
ゆくゆくは栽培農家の仲間と共同で、自家農園の葡萄を使ったワインを醸造できる「シェア醸造所」を立ち上げて事業をスケールアップするのが目標だ。100%湖南町での地産地消スタイルこそワインづくりの本質。難しいからこそ実現したいと、静かな口調ながらも熱意をにじませた。
葡萄農家とワインづくりその奥深い魅力とは
葡萄は植えてから3年かけてやっと実を結ぶ。時間がかかる分だけ、収穫できる喜びが深く、感動もひとしお。1年に1回の収穫。そしてワインを仕込むのも1年に1度きり。たとえ30年続けたとしても、30回しかチャンスがないというシビアな面もある。その1回に賭ける貴重な機会だからこそ、葡萄にもワインにも真摯に向き合えるのだ。
2023年2月にキックオフした「はじまりの葡萄プロジェクト」は、葡萄畑での体験、ワインと地元の食を通じて湖南町を五感で楽しむことをコンセプトとしている。
逢瀬ワイナリー、郡山市や観光協会からもバックアップを受けて活動するこのプロジェクトの代表を務めている小山さん。ツアープランナー、料理人、パティシエ、デザイナーなど、湖南町の若手メンバーが集う。それぞれの得意な分野や考えに違いはあるけれど、みんなのゴールは湖南町をよくしたいという思いは同じだ。
湖南町を盛り上げたいという想いを共にする仲間たち。
農園のツアーは年間を通じて開催しており、秋に参加者の収穫した葡萄がワインになり、飲んで楽しむまでを応援できるツアーを予定している。
葡萄、ワイン、人、一期一会の出会いを味わう贅沢な時間を過ごしに湖南町へ。
自分の手で収穫した葡萄がワインになり、自分の舌で味わう。
素晴らしい体験をしてみませんか。
ご協力いただき、ありがとうございました。
取材 小野寺彰子
文 高橋夏子